先月東京の久米美術館からメールを頂き、
寺崎武男 心の故郷イタリア展 の開催にあたり、
私のヴァティカン博物館内の写真を使わせて貰えないかとの事。

知らせて頂いた内容では、
寺崎武男画伯(1883-1967)は、明治40年に東京美術学校洋画科を
卒業の後、イタリアに留学、ヴェネツィアでルネッサンス期の
壁画研究のほか、彫刻・建築・版画を学んだのだそう。
そして留学中に知った「天正遣欧少年使節」に大変心を揺さぶられ、
以後晩年に至るまで、彼らのエピソードを描き続けたのだそう。
天正の4少年達は、ヨーロッパ各地での大歓迎を受け帰国したものの、
キリスト教禁教、鎖国へという時代の中で不遇な生涯を終え、
明治の時代には忘れられた存在だったようで、
はるか遠いイタリアにあって彼らの存在を知った、
寺崎画伯の驚きと、心揺さぶられたであろう義憤にも似た感情。
それらが、何とか正しく伝えたい、という想いと重なり、
モチーフとして描き続けたのでしょう。
同時にテンペラやフレスコ画の研究を深め、作品発表をしたり、
日伊の文化交流にも尽力。
ムッソリーニ、横山大観が一緒に写った
「ローマ開催日本美術展展覧会」!
ムッソリーニの右横、一人置いて奥が寺崎画伯と。

帰国後には、山本鼎らと共に日本版画協会を設立、
エッチングの第一人者としても活躍された方なのだそう。
今回の展覧会では、彼の生涯のテーマであった「天正の少年使節」の
大作屏風を中心に、彼の第二の故郷ともいえるイタリアの風景、
とりわけヴェネツィアを描いた作品を展示との事。





そうなんです、一世紀近く前に描かれたヴェネツィアの姿、
これには私も、何というご縁だと驚きましたが、
私が撮ったヴァティカン博物館内の、寺崎画伯が見たであろう
4少年が描かれたフレスコ画の写真を、説明パネルに使いたい、
との事でした。
絵を描くものの端くれとして、そんな先輩大作家の展示に
お役に立つのであれば喜んで、という事で写真を送った次第です。
一昨日10月2日から開催、11月16日まで
休館毎週月曜日、ただし10/13、11/3(月・祝)は開館、翌火曜日振替休館

山手線目黒駅西口下車徒歩1分。
〒141-0021 品川区上大崎2-25-5 久米ビル8階
電話:03-3491-1510 FAX:03-3491-6617
美術館のサイトはこちらに。
http://www.kume-museum.com/
建国の心意気に燃える明治の日本人が、遠く離れたイタリアで知った
16世紀の4少年に心を揺さぶられ、生涯描き続けた作品展。
どうぞお出かけ下さいます様、ご案内いたします。
ヴァティカン訪問 ・ 天正4少年使節のご縁により
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462596727.html
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462596727.html
4少年所縁のサン・ベネデット・ポーのご案内は
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/464090033.html
駆け足ながら、ローマの休日 その1と2
http://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462596986.html
◆ 追記 ◆
ヴェネツィアの様々を深く取り上げておられる「イタリア・とりわけヴェネツィア」の
pescecrudoさんが、この展覧会をご覧になり、紹介されております。
寺崎画伯の作品の写真、また少年使節の一人伊藤マンショの肖像画の事、
久米美術館の由来の事などなど、どうぞご訪問を!
http://pescecrudo.blog122.fc2.com/blog-entry-460.html
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ただ今本家ブログには、秋のトスカーナ旅行2014年 報告予告編その3
をアップしております。
http://www.italiashiho.site/
ご訪問、よろしくどうぞ!
この記事へのコメント
kazu
久しぶりの訪問でびっくりしたところです。
寺崎武男画伯は知りませんでしたが凄い人なんですね。
以前に天正の少年使節のことは拝見していて興味がありました。
1920年代のヴェネツィアの風景スケッチや美しい色のサンマルコ広場やゴンドラの絵素敵です。
ムッソリーニと一緒にはかま姿の正装で写る寺崎画伯
横山大観まで入っている貴重な写真ですね。
こんなすごい方の展覧会に新開さんの写真が使われるなんて光栄で凄いことです。
1世紀前とほとんど変わらない風景にも驚かされました。
shinkai
★kazuさん、こんにちは! コメント有難うございます。
はい、私も今回お名前を初めて聞いた方だったのですが、知ってみるとあの明治の時代にもう、イタリアで絵を描かれたり、展覧会を開くのに尽力されたり、様々な研究をされた方が居られるのですねぇ!
ヴェネツィアの風景が今とまるで変わらない、というのも魅力ですし、こちらで初めて4少年のことを知り、衝撃にも似た感情を抱かれたのも想像できます。
はい、写真は説明パネルに小さく載っているようなのですが、ヴァティカンにそういうフレスコ画がある事も余り知られていないと思いますし、
少しでもそういう先輩画家の展示会にお役に立つなら、ありがたい、嬉しい事だと思っています。
そちらは御嶽山の事で大変ですね。
季節の変わり目ですし、ご自愛くださいね!
大島悦子
新開志保さま
ブログなどたまたま拝見し、新開様の御活動を知りました。初めてお便り差し上げます、ミラノ在住の大島悦子と申します。
15年ほど前から、当方では、www.japanitalytravel.com
JAPAN-ITALY Travel Online というというイタリア旅行情報サイトを運営しております。まだ日本人旅行者に知られていないイタリア各地の紹介を目的としており、お陰様で、イタリア在住の多くの方のご協力のもと充実した内容のサイトとして確立しております。
以前からフリウリ・ジュリア・ヴェネツイア州の紹介をして下さる執筆者を探していて、新開様のブログにであたった次第です。急なメールで失礼だと思いますが、私どものサイトにフリウリ・ジュリア・ヴェネツイア州の各地の紹介をご執筆いただければと思っています。詳細については改めてご連絡させていただきますが、差支えなければそちらのメールアドレスなど教えていただければ幸いです。
とりいそぎ、急ですが、率直なお願まで。
JAPAN ITALY Travel Online
代表 大島悦子
Via Tiraboschi 6, 20135 Milano
shinkai
★大島様、初めましてこんにちは!
そちらにメールを差し上げます。
メールアドレスの方は消させて頂きますので、ご了承くださいませ。
pescecrudo
shinkai さん、こんにちは。
毎日のように本ブログは目にするのですが、久し振りにこちらを覗いたら、びっくりです。寺崎武男展の事はよく御存じだったのですね。先日見に行ってきて観覧記を書きました。旧ヴェネツィア日本語学校の6代目、最後の先生だったのです。上掲の大観が写った写真の中には、ムッソリーニとも知人だったという下井春吉もいることでしょう。貴重な歴史的写真ですね。
それにしても、明治にもヴェネツィアお宅の大先輩がいたことを知り、大変心強い思いで志を新たにしています。
shinkai
★pescecrudo様、こんにちは! コメント有難うございます。
久米美術館からのご案内が届きましたでしょうか? きっと興味を持って下さる事と、勝手にそちらのご住所をお知らせしたのでしたが、
そうですか、ご覧になられたのですね。 良かったです!
後ほど、そちらにお邪魔させていただきます。
なんと日本語学校の先生でもあったのですか! なんとも凄いご縁の発見とでも!!
そうなんです、美術館から開会セレモニーの様子をお知らせ頂いたのですが、
明治の時代にはるか遠いイタリアで、何世紀も前に渡欧して大歓迎を受けた少年達のことを知り、寺崎画伯自身、大いに励まされ発奮した事でしょうというスピーチがあったそうです。
いやぁ、私もあのサン・マルコの絵を見て本当に驚きましたが、海の都、オリエント風なイメージも持つヴェネツィアに、きっと画伯も大いにはまった事と確信しております!!