一体いつ頃から描き始めたかと記事を調べてみましたら、
アッシジの夕暮れは、今年の年明け早々に下描きが済み、
水彩で最初の色を置いたのが出ておりました。
とすると8ケ月以上ですか。
まぁ、この絵はけしてすらすらと行った訳ではなく、
途中の試行錯誤、意識の改め等などで眺めていた期間が長く、
最近漸くに粘り、何とか、という所まで来た様に思いますので、
見てやってください。
アッシジの夕暮れ 聖堂に灯りがともる頃 58x41cm (12M見当)

なぜこんなに迷ったのか、長引いたのかは、
結局の所、自分がどうしたいのかが明確でなかったから、と思います。
最初は単純に聖堂のある夕暮れ、明るめの夕暮れの空、と
考えていたのですが、
あの聖堂の石造りの塊、重量感を出す為にも精一杯ペンで描き込み、
そうするとまだ明るいままの聖堂が逆に薄っぺらに感じ、
色でも描き込む、負けないように平野も描き込む、
という様にどんどん暗くなり、一度ならず洗い落としたり、
消しゴムでゴシゴシ消したりもしたのですが、
聖堂と平野との繋がりの関係もあり、
ある程度暗くなるのはやむをえないという気持ちになりました。
となってくると、聖堂を含む平野と空の対立だけになり、
聖堂の主役としての立場がどこかに消えてしまい、・・あれま!
そして暗くなりかけの平野に灯りをポツポツと入れた事によって、
自分が夕暮れの聖堂の写真を撮っていた時、
聖堂にぽっと最初の照明がともったのに気が付いた、
あの時の印象を思い出し、そうだ、やってみようと。
そうして薔薇窓の周囲に光を当ててみると、
やったぁ、聖堂に主役が戻ってきたぁ!!
ですが聖堂の色は何度も塗り重ねていましたから、
最初に塗り重ねた時は、暗い色の上に明るい色と、重くなり、
翌朝また消しゴムでゴシゴシとやり、再度挑戦。
という事で、現在の感じになりました。
どうでしょうか?
そうそう、上部を1,5cmほど切ることにしましたのと、
タイトルを「アッシジの夕暮れ ・ サン・フランチェスコ聖堂」から
「アッシジの夕暮れ ・ 聖堂に灯りがともる頃」に変えました。
私には大変勉強になった絵だと思います。
途中から絵が一人歩きし始めたのに、何とか追いつけたとでもいう感じです。
写真に撮ってみると、色がまるで実際と似付かず、
漸くに何とか暗さ加減でのイメージに合わせました。
が、実際の色よりは空などが鮮やかに見えますし、
実物の平野の奥から空はもう少し明るめです。
聖堂の正面中央の扉の中の円柱が少し傾いで見え、
これに苦慮しています・・、あ~あ。
ピエンツァ 5月の朝

こちらは先回見て頂いた後、弄ったのは左上の壁だけです。
先回はあの辺り写真のピントも甘かったのですが、
濃い緑の鎧戸もしっかり描き、一番左上のオレンジ色を少し濃く、
壁の剥げ加減を2箇所ほど強調、といった具合です。
お終いにしても、良いかなぁ?
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ただ今本家ブログには、秋のトスカーナ旅行の、日程計画
をアップしております。
http://www.italiashiho.site/
ご訪問、よろしくどうぞ!
この記事へのコメント
小父さん
「考える人」shinkai画伯の内面を細かく記されていてとても興味深いです。
絵のこと音楽のことは分かりません。
いや文学に挑戦したこともありませんがレポートを書き上げる時、うんうん唸ったことが思い出されます。
ずっとかかりっきりだと離れて見ることが出来なくなり、
自分の書きたかったことと別の方向に行くこともありましたね。
なんだかとても似ているような気がします。
小説家はもっともっと苦悩するんでしょう。
上の記述を読んでそんな印象を持ちました。
>夕暮れの聖堂の写真を撮っていた時、聖堂にぽっと最初の照明がともったのに気が付いた
これこそ、その瞬間をどれだけ感じとっていたか、それをうまく切り取れたかなんでしょうか。
たぶん当初の絵とは時間も印象も別物だと思いますが、おぼろげに浮かびあがっている聖堂がこちらに何かを語りかけているようです。
ピエンツァ 5月の朝はコクが出てきたように感じます。
果物で言ったら熟したと言うか、特に三角形の家の影と回りの強い日差しが好きです。
以上、ど素人のコメントです。
shinkai
★小父さん、こんにちは! コメント有難うございます。
いつもの事ですが、本当にしっかりと読み、絵も見てくださっているのに感謝です!
このアッシジは多分、実際に描き始めてみると今までの絵と構図や狙いが違って来たのに戸惑ったのだと思うのですが、でも長い時間は掛かりましたが、絵について行けた事が嬉しいです!
何となく、初めて今までにない課題曲に取り組んだ、とでも、ははは。
はい、あの照明が灯った、最初からぱっと明るく照明されるのではなく、小さいぽわっとした灯りがだんだん強くなり広がっていく、というあの場面は、自分の考えの中には無かったので、おっ!と驚きながら場所も変えつつ、空が暗くなるのにつれて強くなる照明に見とれていたのでした。
聖堂がこちらに語りかけているよう、・・でしょうか? そう感じていただけるなら、本当に嬉しい事ですし、
ピエンツァの壁もコクが出た、と!
小父さん、本当に有難うございます!!
poppy
こんにちは
こちらのブログにコメントするのは初めてですが、
美しいニュアンスの色彩の水彩画に魅了しました。
shinkaiさんの感じる印象で描くイタリア風景......
リンクさせていただきました。
私も昔絵を描いいたので、とても興味があります。
shinkai
★poppyさん、こんにちは! こちらにも有難うございます。
リンクの事、書いて下さったこと、とても嬉しく感謝です!
こちらからもリンクさせて頂きますね。
そうですね、やはり日本人の感覚で見ていると思うのですが、もうこちらに住んで長いので、見る目は観光で訪れた昔とは違うと思います。
ああ、そうでしたか、絵をお描きでしたか、やはりね、写真で捉えられる風景がやはり違うのをずっと感じておりました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。