・ 作品集 17 フリウリ・V G

・ 運河の水面 トリエステにて   6P

   

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イタリアの北東端に位置するトリエステの街、古くからの国際的な港街。

ちょっと神戸港に共通する異国情緒の明るい空気もあり、

逆にまた、この街が舐めて来た歴史上の暗い、辛い歴史も滲み、

冬季に東欧から吹き付ける台風並みの強風ボーラも有名です。


このモチーフは、港から引き込まれた短い幅広の運河で、写真を撮ったのは

かなりの昔で、ずっと頭に残っていたのが、漸くに描こう!と。


夕暮れ近く、赤煉瓦で形どった壁の柄が明るく水面に反射し、

でも係留されたボートはすべて影の中。


いつも描き出しは元気に、でも今回は目の問題で、水面に反映する揺れを

描くのが苦痛な時が続きましたが、

でも描き上げることが出来、大きな宿題が済んだようで大いに安堵を。







・ 作品集 11  猫ちゃん ワン君  Gatti e Cani

・ 遊んでほしい?  モンティキエッロの猫  6P

    

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トスカーナはオルチャの谷のピエンツァの東に位置し、城壁に囲まれた

小さな村の中には猫ちゃんが幾匹も、あっちに、こっちに。

なにせ車は住人のみが乗り入れ許可なのでね、道の真ん中でも大丈夫。


朝早くに広場を通りかかると、車のボンネットの上で寝ている子もおり、

お勤めに出かけるのでやって来た車の持ち主が、

ごめんよ、アモーレ、のいてね、と詫びを、ははは。


この子は、shinkaiの大好きなぷっくりのお腹を持ったこの子は、上から

歩いて来て坂道の途中にゴロンと横になり、見つめてくれたのでした。

う~ん、こんな子ともう一度一緒に過ごしてみたいよぉ!






・ 作品集 16  スロヴェニア

・ 朝の港  ピラン・スロヴェニア  0号   

     

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スロヴェニアには、イタリアからは国境の検閲無しで行け、車に付けていたナビが

国境を越えた所でパタッと消え、まぁ友人と2人連れでしたので、ここかな、

あそこかな、と標識を睨みながら、喋りながら、行きつ戻りしつつ、ははは、

ピランの先にある塩田迄行きましたが、

公用語もスロヴェニア語とイタリア語の2か国語で、これはやはり楽でしたね。


ピランは港町。 ヴァイオリンの難曲と言われる「悪魔のトリル」の作曲者である

ジュゼッペ・タルティーニの生地で、現在の港に面する広場には、彼の彫像も。


当時はヴェネツィア共和国領下であり、港から見える山上の教会鐘楼の形も

サン・マルコの鐘楼風であり、建物もヴェネツィア風ゴシック窓を持っていたりで

親しみを感じました。


夏の朝の港には射し込む陽が波に煌めき、カモメがゆったりと波に揺られ、

どこか空気ものんびり。 少路を辿ると少し寂れた趣も感じ、年代が戻った様な。

そんなイメージは、今のイタリアの田舎にももうありませんね。






・ ウンブリア  Umbria

・ 飛ぶ天使ミケーレ  べヴァーニャ・サン・ミケーレ教会  8号  


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ローマ期以前からの古いウンブリアの町はたくさんありますが、この町は多分

中世以降の経済的な発展が余り無いままに済み、結果古い物がたくさん残り、

今は観光客が集まる田舎の町、になったのではないか、と。


中心のサン・シルヴェストリ広場に向かい合って残る、モチーフにしたこの

サン・ミケーレ教会と、サン・シルベストロ教会の見事さ!


とりわけサン・ミケーレ教会の扉右脇のこの「飛ぶ天使ミケーレ像」は、

もう片方の「竜を退治するミケーレ像」よりグンと男前で! 

はい、お顔の持つ迫力が全然違い、と千年前のマエストロには

失礼ながらshinkaiが断言を。


描こう!と決めた時には、どの様に飛ぶ天使像を描くのか、とかなりあれこれ

考えましたが、いざ描き始めた時には有難い事にその迷いがなくなり、

自分が納得するまで描く事、のみを追いかけたのでした。





・ ナルニの小路  ウンブリア   6号

    

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ローマに流れ下るトスカーナからのテーヴェレ河に、ウンブリアから流れるネーラ川が

合流する地、そしてアドリア海側に連絡するローマ期からのフラミーニア街道も通る、

古代からの交通要所として重要地点であり、町は丘の上の高所にあり、

更に100m上がると堅固なアルボルノス要塞がある、中世からの趣芬々たる町。


あっ、そうそう、ドナテッロの傑作「ガッタメラータ将軍騎馬像」のエラズモ・ダ・

ナルニはこのナルニ出身の傭兵隊長であり、またエローリ博物館にはギルランダイオの

素晴らしく美しい「聖母被昇天像」があり、町の宝の1つと。


そして1979年に冒険好きな少年達が発見した地下教会やかっての異端審問所、

これはなんと19世紀末まで続いていたのが分かったり、壁一面に収容者の文字、

記号等が刻み込まれた牢獄が公開されており、大変興味深い見学が出来ます。


絵のモチーフを頂いたのは、坂の下の駐車場から上って来てのガリバルディ広場

から、町の南にあるアルボルノス要塞に続く少路で、建物の下を潜る坂道。


光が射し込む石段と段差のある素敵な少路に惹かれて描きたい、と思ったのが、

斜めに奥に続く石壁を描くのが難しゅうございましたぁ。





・ トーディの坂道   6号

       

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トーディの町は、ローマ・ペルージャを結ぶ幹線のオルヴィエートから

東に37km、小高い山上400mに位置します。


人口は2万人足らずの町ですが、古代から、そして中世に大いに栄え、

当時の人口は現在の何倍もあったと言われ、その面影が今に残る町。


この絵のモチーフは、中心から南に下がった辺りを辿っていた時、

向こうの道を下ってゆく老婦人を見かけ、

髪はゆったりのシニョンに結い、白いたっぷりのブラウス、そして

白黒コンビの靴、と大変なお洒落さん。


杖をついておられましたが、ゆっくりと坂道を歩く姿に何とも言えない

良さというのか、女の大先輩とでも言うか、あらまほしき姿を見た思いで

一種の爽やかさを感じたのでした。


何とかその時の印象を、と思いつつ、 一面の石壁を描くのが難しかったぁ!   





・ アッシジ 春の夕暮れ   4号 

     

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アッシジのお祭り、5月初旬に行われる「カレンディ・マッジョ」に出かけると、

サン・フランチェスコ聖堂の向こうに沈む夕暮れを写しに出かけます。


時間を見計らい、聖堂前の広場の端の道を行ったり来たり。 

そして聖堂前がまっすぐに見える、少し高い入り込んだお馴染みの小さな広場に

行き、これはそこからの眺めの、でも沈みゆく太陽の位置を少し動かして。


何とも言えないゆったりの時間に包まれた様な、きっと聖フランチェスコの時から、

千年前もこうだったんだろうな、と思えるアッシジの町の時間が過ぎて行きます。


とろんと靄った平野の中に、一筋まっすぐにアッシジの町に向かってくる道が

見え、小さく煌めく光を放ちながら、ゆっくりと山の向こうに隠れて行く太陽。


なんとも素敵な美しい夕暮れの色ですが、描くにはなんと難しい事!





・ ウンブリアの平野風景  ペルージャの高台より  4P

   

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ペルージャの高台にある歴史ある古い中心地は小さく、その中心を通る

コルソ・ヴァンヌッチをまっすぐ聖堂から南に抜けて行くと、

城壁の上から見えるウンブリアの平野のパノラマが広がります。


日本と違いイタリアの街の外には広く農地、土地によっては葡萄畑、

麦畑が広がり、その空気と色の広がりにこちらの心も広がる気がし、

見える一筋の道を辿ってみたり、見える農家の窓にその一家を思ったり。


旅にあっては誰しもが惹かれる果しない思いでもあり、夢でもあり。


そうして一息ついて後、通りを戻り、さて、お昼ご飯をどこで食べようか、

と、ははは、いつもの散文的日常に、ね。





・ ロマネスク教会後陣  べヴァーニャ    0号  

   

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ベヴァーニャは、ウンブリア州アッシジから南に下ったフォリーニョから西に

10km程の平野の中に位置する、ローマ期から中世の遺物がぎっしりと詰まった

古~い小さな町。

アッシジの聖堂に残る、有名な「小鳥に説教するサン・フランチェスコ」の

モチーフは、このべヴァーニャから北のカンナーラの町に向かう道筋の事、

と言い伝えも。


自分で運転して出かけた最初の旅で寄ったのでしたが、当時まるでイタリアに

ついて何も知らずで、平野にある事にまず落胆し、殆ど頭に残らずでしたが、


この絵のモチーフにした千年頃建設の教会後陣、そして教会内部の素晴らしさ、

すぐ前をローマ期のアドリア海に抜けるフラミーニア街道が通っていた、

と教えて貰った事、町に残るローマ期のテルメのモザイクが素晴らしかった事

等などを覚えており、


古い写真を見ていて改めて目が留まった、向かい側にある教会の扉脇上の、

飛ぶサン・ミケーレ像などを描いた事、町のご案内も改めてブログに載せた事

などから再度興味が沸き、

周囲一帯の古い小さな町を改めて回ったら、以前よりも目に留まる物が

たくさんあるのではないか、という気も。


新しく知る事により、逆に新しく出てくる疑問、興味、尽きません!







・ トスカーナ  Toscana

・ シエナのクレーター  谷風景   8P

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シエナのクレーター と呼ばれる、月面のクレーターにも似た風景で有名な

トスカーナのアシャーノ周辺。

衛星地図とストリート・ヴューで検索し、アシャーノよりも北、県道438号線沿い

フォンタネッレから東に入り込んだ宿を見つけ、出かけました。


描いたモチーフの、右側がちょうど今居る位置位まで下がった所に宿があり、

ずっと上に歩き、左上の農家の見える辺りで左に入り込み、農家の後ろを抜け、

そして谷のこちら側を下って来ての眺め。


カランキと呼ばれる浸食跡がくっきりと残り、傍には寄れない様、道には鉄条線が

張られ、覗き込むのも恐ろしい様な谷風景ですが、


下から遥かに見渡す谷の広大さ、そしてカランキのすれすれ迄トラクターが耕して

いる見事さ、春の黄色い花が咲き乱れ、午後の陽差しに一層鮮やかに映える・・、

ああ、来た、見れて幸せ! の放心のひと時。





・ 朝の陽 モンティキエッロ・トスカーナ  6P相当


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トスカーナはオルチャの谷の中心とも言えるピエンツァの東、直線距離にして

4km程の位置にあり、ずっとピエンツァの下での長い歴史がありました。


小さな町、というより村は、周囲をぐるっと城壁に囲まれ、中の家々は古い石積み

の素晴らしい集落で、道も全て石が敷かれ、ゴミなど何処にもない清潔さ。


オルチャの谷のあちこちを回るのに、この村の宿を基地にし楽しみましたが、

美味しいレストランもあり、夏には村人たちが出演する劇の上演もあり、

単純な田舎の村とは違う趣があり、文化がある村、というイメージでしょうか。


石の色は凝灰岩の、ちょっと脆そうな茶色のヴァリエーションで、その大小の

石積みが醸す何とも言えない味わいに、ピエンツァに行く度に出かけますが、


住人たちが望むような村の発展とは逆に、余り観光客が増えない様に、と

願う1人です。





・ シエナのクレーター 刈り取りの季節   6号


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シエナから南東に下りアシャーノを目指します。 グーグル地図によると、シエナの

南東の門ポルタ・ピスピーニからアシャーノ迄25,6km31分と出ます。

10分程で出会うタベルネ・ダルビア・Taberne Darbiaから道は県道438号と

なり、このアシャーノ迄の道がカーヴ多く、上り下りする道で、風景を愛でる人間

にとっては、もう忘れられない道。


右に左にカメラを向けたい風景が次々と現れ、有難い事にあまり車の通りも多く

無く、道脇に車を寄せて止められる場所もすぐ見つかるので、走っては止まり、

走っては止まりの行程となり、

同じ方向に進む人間、車が同じ場所でまた顔合わせ、という事に!


このモチーフにした風景は、ちょうど中程のヴェスコーナ・Vesconaの近くで、

道脇に谷が南に長く延び、既に刈り取られた麦畑に残るトラクターの跡ですが、

春先に見る麦畑には、うっすらとした緑色の芽生えが、やはり線になって

見えるのですよ。

写真を撮られる方、絵の取材の方、この道を是非一度通って見て下さいね。







・ ヴェネト   Veneto

・ 5月の空 スコミーゴ村    8号F

  

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  住んでいる北イタリアはヴェネト州コネリアーノ市のスコミーゴ村。

  3年前でしたか、コネリアーノから北西にかけての土地が、ユネスコの世界遺産

  「プロセッコの丘」として認定されましたが、

  33kmの行程、15コムーネにまたがる約3500ヘクタールの土地。 


  指定地のいわば端っこに位置するコネリアーノに含まれるスコミーゴ村で、

  葡萄畑が丘の傾斜地に広がり、畝が広がる眺めをいつも惚れ惚れと。


  この丘は何度か描き、勝手に「shinkai丘」と呼んでいますが、ははは、

  このモチーフは夏の間この畑脇の道を歩く時に得たもので、既に1度小さな

  サイズで描いたものの、大きく描きたい、と当初から願っていたもの。


  ほんの少し、トスカーナの土地の広がりにも似たイメージもあり、

  好きな土地に住めている幸せを思います。

  



・ 雨上がりの朝 カルページカ村   6P


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  週に2度5Kmほど歩きますが、家から葡萄畑の間の緩やかな上り坂の道を、

  北西隣のカルページカ村の教会前まで行き、戻って来ます。

  季節により、その日の天候により、いつも見える状態は変わり、

  車に合う事も殆どない気に入っている道で、

  途中には知り合ったワン君の歓迎付き、という、ははは。


  このモチーフは、カルページカの教会前から西に見える、フォルメニーガの

  丘と教会ですが、

  ちょうど雨上がりの朝で、何とも素晴らしい雲の流れに出会いました。

  朝出かける時に素晴らしい陽の出の色に出会えそうだとコンパクト・カメラを

  持って出ますが、この時は無し。

  ただ偶然にスマホがポケットにあり、ああ、良かった!と安堵、感謝で

  撮ったのでしたが、家に戻って確かめると、何とも酷い写真!

  というのも、私にはスマホは家の電話と同じで、毎日家に居るのでPC使用、

  写真はカメラで、という事から、

  本当に安いスマホを買っているからでして、はぁ。


  まぁ、何も記録が無いよりはマシ、となだめつつ、実際見た時に、

  真ん中の一番明るい所が明るい美しい水色だった、と記憶していたのが、

  いざ水色を使うと濃く暗い色に見え、周囲の色の調整をしつつその水色が

  塗れる迄には、すんなりすっきりと収まらない経過がありましたぁ。 

  でも最後は何とか、お陰様で。






・ ヴェネツィア  Venezia

・ 「係留禁止」 ヴェネツィア   0号

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 ヴェネツィアをモチーフに何度も描き、新しいモチーフもいくつか温めていますが、

 これは何十年も前に一目惚れしたモチーフなのです。

 10号ほどの大きさに描いた事もありますが、久し振りにもう一度と思い、

 0号の小さなのを描きました。


 この場所は既に壁も新しく塗り替えられ、「係留禁止・VIETATO DORMEGGIOO

 つまりこのドアの前は駐禁止、と張り出されていた扉も締め切りの新しい扉

 となり、多分自家用のボートが無くなり、この扉からの出入りも無くなった様子。


 小奇麗には改装されたものの、味気ない単色のモルタル塗りの壁となったのを

 見た時はがっかりしたものの仕方のない事で、古い建物の多いヴェネツィアには

 ありがちな事。


 古い物、古い味わいを望み、それを良しとする絵描きというのも、ある意味

 無い物ねだりの、勝手な人間なのかも知れませんね。