・ n.1 絵画、彫刻の修復で、有名な、そして問題となった10点

今回から多分3回に分けてご覧頂くのは、と言っても、いわゆる問題に
なった作品の、正当かどうかはともかく、何が問題になったか、という、
まぁ、巷から、研究者たちからの問題点提出の作品のゴシップを。
  
サイトはこちら 
I 10 RESTAURI PIÙ FAMOSI (E DISCUSSI) DI SEMPRE

47年前になりますが、1972年に錯乱した男によって、
確か腕に鉄槌を受けたヴァティカンのミケランジェロ作の
「ピエタ像」の修復が済んだのだそう。

0-Michelangelo's_Pietà,_St_Peter's_Basilica_(1498–99).jpg

現在では既に事件の事も殆ど忘れられ、ミケランジェロの傑作である
「ピエタ像」が元の姿、面影を取り戻したのは皆が一致して思う事ですが、
当時は大変な批評が相次いだのだそうで、
破損の印を残すべきである、とか、修復などすべきではなかった、等もあり、
そして、当時としては珍しい参拝者、観光客の目の前での修復だった様子で。

で、このミケランジェロの話題から始まり、この50年間における有名な修復の話、
良きにつれ、悪しきにつれ、話題となった作品のご紹介を、という訳です。

10. パオロ・ヴェロネーゼ作 エマウスの夕食 パリ・ルーヴル美術館収蔵

1-1-Paolo_Veronese_-_Supper_in_Emmaus_-_WGA24854 - Copia.jpg

2010年に修復されたこの作品は、AreWatch協会によると、
ルネッサンスの構成全体を近代化し、作品の主たる特徴を捻じ曲げ、
オリジナルから引き離したものにした。

一番目立つ例としては、家族内の貴族女性、母親の顔で、
21世紀の美の基準に合わせ、頬と唇を膨らましている、との事。



で、この女性と思われる部分を拡大して見ましたが、どう思われます?

1-2-Paolo_Veronese_-_Supper_in_Emmaus_-_WGA24854.jpg

余りにも細かく、難癖をつける為の言葉の様にも聞こえません?



まぁ、部分が見え難く、細部の写真も見つからずですので、
やっと見つかった、この少女と犬の姿を。 可愛いでしょう?!

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でもこれだけの人数を描き込むのも大変だったろうと、一体どの家庭なのかと
調べましたが分からず! 

で、同じ主題「エマウスでの夕食」を描いたレンブラントとカラヴァッジョの
展示があったのをこちらに。 とりわけレンブラントの作品が素晴らしいので。

1-rembrandt_emmaus.jpg

ミラノ・ブレラ絵画館の、レンブラントとカラヴァッジョ
http://italiashinkai.seesaa.net/archives/201902-1.html



9. レオナルド・ダ・ヴィンチ 聖アンナ、聖母マリーアと子供と子羊
  パリ・ルーヴル美術館蔵

2-1-Leonardo_da_Vinci_-_Virgin_and_Child_with_St_Anne_C2RMF_retouched.jpg

こちらは2011年に修復されたもので、当時問題になったのを記憶していますが、

つまり多くの研究者たちが指摘したのは、洗いすぎて、つまり汚れを落とし過ぎて、
顔と背景から、レオナルド特有のスフマート・ぼかしを消し過ぎた、というもの。



修復中の写真も見つかりましたが、如何?

2-2-restauro-santanna-la-vergine-e-il-bambino-con-lagnellino-leonardo.jpg



2人のアップを。

2-3-Leonardo-La-Vergine-e-il-Bambino-con-Sant’Anna-1510.-Particolare-Arte-Svelata.jpg

所で、聖アンナなる女性をご存知ですか? 聖書には出て来ませんが、
キリストの生母マリーアの母親で、カトリック教会では聖女としており、

つまりこの絵は子供のキリストが子羊と遊ぶのを、聖母マリーアが自分の母親の、
キリストにとっては祖母の膝の上から見守っている姿、という事になりますね。

聖アンナについては、  絵画史における、最初の接吻場面は
https://italiashinkai.seesaa.net/archives/20191201-1.html



8. チマブエ  アッシジのサン・フランチェスコ聖堂の、半円の天井画

3-1-Restauro-degli-affreschi-delle-vele-della-basilica-di-San-Francesco-ad-Assisi-201x300.jpg

これはもう「ミッション・インポッシブル」とでもいうべきもので、
1997年のウンブリア州を襲った地震で聖堂の上院の天井が落ち、
チマブエのフレスコ画がまさに破片となって飛び散ったのでした。



これが歴史的瞬間の落下写真で、

3-2-export.1.1276611..jpg



こんな瓦礫の中から、色のついた部分を拾い集め、

3-3-basilica_2.jpg



こんなモザイク状の破片を1つ1つ判別しながら、絵の実物大に引き延ばした
写真の上に置き、修復者たちは、不可能を可能にしたのでした。

3-4-restauro_6.jpg

それもこの写真は、地震の起こる数時間前にギーゴ・ローリ・Ghigo Roliと
いう人が撮ったものだそうで、「アッシジのサン・フランチェスコ聖堂」という
本を出版しているそう。 つまり出版の為に写真を撮っていたのかもで、
こういう偶然性は恐ろしいような物ですね。

本来ならば何年もかかる仕事でしょうが、サン・フランチェスコはイタリア国の
守護聖人であり、国の威信をかけて、僅か2年で修復が行われたのでした。

この顔は、まさにサン・フランチェスコの顔部分なのですね。



最後は青空の下の聖堂写真で、深呼吸をどうぞ! またいつ行けるかなぁ?!

3-5-basilica.jpg

アッシジのご案内はこちらから
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/460871638.html


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posted by shinkai at 04:20Comment(0)・欄外