・ 人物  Ritratto


◆ お祭りの日 アッシジ・カレンディ・マッジョにて   
  Giorno di festa a Calendimaggio : Assisi   サムホール

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  毎年5月上旬に行われるアッシジのお祭り・カレンディマッジョは、
  春がやってきた事を寿ぐ農民のお祭りの伝統を踏まえ、町の人々全員が参加、
  下の地区・赤と上の地区・青に分かれて、それぞれの出来具合を競います。

  古楽器の演奏付きで、芝居構成あり、時代衣装の行列、踊り、綱引きや
  弓の競技、太鼓隊の実演と様々で、4日目の最後は夜のコーラス大会で〆、
  招かれた審査員達が優勝地区を決めるという本格的なもので、
  毎年1年かけて準備をするのだそう!


  お祭りの日は大人だけでなく子供達も中世風の衣装を着け、とても可愛いく、

  上の地区のブルーの衣装を付けた金髪の女の子、肌の白さも鮮やかで、
  太鼓の撥を手に、次の出し物を待つ様子がとてもあどけなく・・。




     

・ 花  植物  Fiori 


◆ トンボ  Libellula   0号変形 16x16cm
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  これは拝見したブログで載せておられたのが気に入り、
  描かせて貰って宜しいか、と許可を頂き、描いた物。


  紅葉した葉に止まったトンボの羽が左に先っちょと、虫食いの穴から見え、
  胴体は葉に移る影、というモチーフが素晴らしく、
  もう一枚撮ったのも送って下さったのですが、断然こちらを選びました。


  他の葉っぱの滲んだ形や色も写っていましたが、単純にこの形と色に決め、
  いつか描きたいと思っていたトンボも、これで第1回目に、 万歳!




   

◆ 芽生え  Germoglio  2号
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  四季折々に我が村スコミーゴの葡萄畑や、奥の林に入り込みますが、
  春先にはこの野生のクリスマス・ローズを見るのが楽しみで行きます。

  日本でもイタリアでもクリスマス・ローズの栽培種の様々な色や形、
  花も大きなのを見ますが、

  野生のは背も低く、色は若草色のみ。 ですが、
  葉の色は銅色のもあり、花びらの形も、丸めのや少し尖ったのが。


  落ち葉の隙間から元気に芽生えたのに、ちょうど光が射しこみ、
  しっかり花を咲かせるよう励ましている様子にも見えた様子を。




   

◆ 葡萄  Uva  0号 13x18cm

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  額屋さんに行くと何かめぼしい額がないかと漁り、はは、
  気に入ったのが見つかると先に家に持って帰り、
  その額に合わせるにはどんな絵が良いかを考え、描きます。

  勿論普通は先に絵を描き、どんな額が良いかと合わせるのですが、
  出来合いの額というのは、棹から注文の額を作って行って余った
  端材で作るので、
  普段だと注文でき難いようなお高い棹で作った小さな額もあるわけなのです。


  でこの春に見つけていたのが、今この葡萄が入っている薄い鶯色の額でして、
  見た途端、これには葡萄が良い、と決めていたわけです。


  葡萄も久しぶりに描きましたが、次はプロセッコの葡萄をと!

  形の整った食用の葡萄よりも、粒の大きさも色もまちまちで、
  描きたい気持ちをそそってくれるのです。




  

・ 猫ちゃん  ワン君  Gatti e Cani 


◆ チャ~オ!  シロールの猫
  Ciao!  Un gatto di Siror   5F

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  息子が何年か前に購入したシロールの家はコンドミーニオで、
  木の階段が外に付いていて、階毎に一家族、というスタイル。

  兄弟で最初に大きな内部改装をし、後はセルジョ自身が追々と
  整備していった訳ですが、

  この木の外階段もそうで、長年の使用で真っ黒に汚れ木目も分からない
  状態だったのを、クレンザーとタワシで磨き上げ、
  見事な木目の美しい階段に戻しました。


  夏に行った時カメラを持って下りてくると、ここに下の階の
  飼い猫ちゃんが涼んでいて、チャ~オ!と声をかけ、
  見上げてくれた所を撮ったという訳。


  背中の真ん中の毛がタテガミみたいに長い、ちょっと変わった猫ちゃん
  でしたが、描く時は普通の毛並みに。

  夕方薄暗くなった道を、散歩する飼い主の後ろからひょいひょい
  飛び跳ねるようにして、付いていく姿も見ましたっけ。




   

◆ 見つめる  Guarda  4号変形

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  依頼を頂き描かせて頂いた、abiさんちのセレナ君。

  背景を、彼の名前に相応しい青空にし、お家の秘密の花園に咲き誇る
  四季の花々を描き入れました。

      
  黒猫ちゃんを真っ黒に、余り毛並みの色を変えずに描きたいと思い、
  何とかご本人どおり、ふっくらの黒猫ちゃんになりましたし、
  お庭のお花がたくさん入った事で、とても喜んで頂け、
  安心致しました!





◆ ヴェネツィアにて  a Venezia   サムホール

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  ご自分の猫ちゃんを、イタリアの風景の中に置いて、とのご依頼で、
  ちょっと考えた末、やはりヴェネツィアの風景の中が良いと思い、       
  というのも、街角とか扉の前だとどこの街か分かりませんしね。
      
  で大運河越しに記念撮影風と決め、手持ちの写真を探し回り、
  構図に合う様に、送って頂いた猫ちゃんの写真もミラー風に逆向きに。

  という事で、ホテルの窓、テラスでの「ヴェネツィアにて」に。

       
  可愛い猫ちゃんと一緒に、ヴェネツィアに旅行しているみたい、と
  とても喜んで頂け、安心しましたぁ








・ ポルトガル  Portogallo 


◆ 屋根の上の天使 コインブラ大学・ポルトガル  
  L'angelo sopra il tetto - Università di Coimbra, Portogallo  3F
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  コインブラ大学はヨーロッパでも最古の歴史を持つ大学の一つで、
     13世紀末の創設を誇り、ポルトガルの歴史に名を残すたくさんの著名、
  偉人の卒業生の名があり、建物類は世界遺産に指定されています。


  見学の際、内部は写真禁止でしたが、素晴らしい図書館のある棟の、
  その扉に近い屋根の上にこの天使像がありました。


  屋根の瓦の色も、一帯に見られるオレンジ色のみでなく、
  緑と明るい肌色に近い3色で、
  長い年月を経て上塗りの色が剥げている部分も多かったですし、

  この天使も、向って右の翼は下側のみが残っていたのでしたが、
  おいたわしくない様、はい、描く時に付け加えて差し上げ・・。


  空の色に本当に迷い、何度も塗り替え描き直しをした
  想い出の残る作品となりました。



   


◆ ここに地果て、海始まる  ポルトガル・ロカ岬  
  Qui...la terra finisce e il mare comincia - Cabo da Roca 3P
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  ヨーロッパ大陸の一番西に突き出した位置、ロカ岬。

  「ここに・・地果て、海始まる・・」と詠んだのは、コインブラ大学卒業、
  ポルトガル史上最大の詩人とされ、大航海時代のポルトガルを支えた
  16世紀の軍人でもある カモイーシュ。


  まさに地の果てみたいなロカ岬に行き、その海の色にも魅せられましたが、
  何よりも描こう!と思ったのは、
  自分の絵のタイトルに、この一行を付けたかったから・・!!

  はぁ、ロマンチストというよりはイチビリ新開ですが、ははは。


  ひょっとしてあの水平線の向こうには大きな滝があって地獄に落ちるかも
  と恐れながらも、
  大航海に出かけていった男達の夢と欲を、

  やはり凄いなぁと、あの水平線を見ながら思った事でした。




  

・ ウンブリア  Umbria 


◆ 朝のアッシジ サンタ・キアーラ聖堂   
  Mattina ad Assisi - Basilica di Santa Chiara   5F

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  スバーシオ山の山腹、東西に細長く広がるアッシジの町の西端に
  サン・フランチェスコ教会があり、彼はイタリア国の守護聖人でもあり、
  町の東にフランチェスコの教えに導かれ従ったサンタ・キアーラの聖堂が。


  町全体が白とピンク色の石の建物で埋められ、それだけでも優しい感じで、
  この教会はその白とピンクの縞柄で正面壁が埋まり、如何にも聖女に相応しく、
  薔薇窓のみを描いたことがあるので、いつか全体をと思っておりました。


  教会前から眺めた、このアーチが見える一帯も描いておりますが、
  今回は朝の逆光に浮かび上がるサンタ・キアーラ聖堂を。


  清々しく静謐なアッシジの雰囲気が出ていますように!




   


 

・ トスカーナ  Toscana 


◆ 糸杉の道 ピエンツァ  
  La stradina dei pioppi - Pienza  4P 

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  世界遺産指定オルチャの谷の東に位置するピエンツァの町。

  海抜490mの町から坂道を南に下り、すぐ東への地道に入り込むと、
  町の城壁越しに眺める広い起伏する平野の真っ只中で、
  なんともいえない感触を得られます。

  この糸杉の道はその地道から東に向って見えた道で、この辺りの
  何本かの小道は坂を上り、隣の小さな町モンティキエッロに。


  小麦畑に付く何本もの筋はトラクターの跡で、右奥にはオリーヴの畑があり、
  手前はどうやら休耕地で、同じ緑色でもどこもがみな違う緑。

  波打つ大地をどう描いたら良いかといつも迷いますが、
  でもその迷いも楽しんでいます。
       



   

◆ ジョットの鐘楼より フィレンツェ   
  Vista dal Campanile di Giotto    4P 
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  花のサンタ・マリーア大聖堂のクーポラも、ジョットの鐘楼にも
  どちらも上りましたが、なにせ高上がりが好きなので、
  上れる鐘楼は上ることにしていまして、ははは、

  ジョットの鐘楼から同じ高さで見る聖堂のクーポラは、
  やはりまた格別な迫力!


  古い建物や鐘楼の階段は、長い年月を経てどこも磨り減っていますが、
  このクーポラを見る窓への段もすり減っていて、
  6世紀に渡る年月と、窓に近寄り覗いた人々の数を思い、微笑ましく。



  今年の夏からの中部イタリアでの地震災害の酷さを思うと、
  どうぞこれらの美しい歴史遺産が、
  これからも末長く生き残るようにと祈らずにおれません。




     

◆ ソラーノの村 真昼  
  Borgo di Sorano a mezzogiorno   5F 
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  ソラーノの村が位置するトスカーナ州東南のこの一帯は、
  凝灰岩をくり貫いた洞穴の家が今もたくさん残り、
  かってエトルリアの民が定住していた事でも有名ですが、

  高台には大きなオルシーニ家の古い城があり、町の東には岩の塊の様な
  大きな要塞があり、その上から見下ろす家並みの美しさ!! 
  小路がめぐり、高低差のある家並みが素晴らしいのです。


  いつかは描きたいと思っているこの町家並の、まず手始めに
  選んだのがこのモチーフで、灰岩の美しい色の古い壁と古い瓦屋根、
  どっしりと重いその姿に惹かれました。


  前の道には猫ちゃんたちが寝そべり、
  如何にものんびりとしたトスカーナの古い町の一廓、
  人の姿は見えないお昼時です。




   

◆ トスカーナの古い農家  モンテリッジョーニ  
  Vecchia fattoria toscana - Monteriggioni    3P
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  シエナの北西にある小さな町モンテリッジョーニ。 
  ぐるりとほぼ円形に城壁に囲まれ、ダンテがその様子を「王冠を戴き・・」と
  詠っているそうですが、


  この農家は東側の城壁を上った外に見える如何にも古い農家で、
  放置されている様子。

  3年ほど前に描き出したのが行き詰まり、置いていたのですが、
  漸く上下左右を縮めた形でやってみようと再トライし、
  何とか行けたかな、というのが今年の夏でした。
   
     
  そしてある朝パネルに紙を張りながら何気なく見たTVでやっていたのが、
  ハリウッド・スターのゴシップをあれこれ伝える物で、
  ジェームス・ガンドルフィーニという俳優の話。
  何気なく聞きつつ分かったのは、3年ほど前に旅行中のローマで亡くなり、
  今遺産相続で揉めていると、出た農家の写真にびっくり! 
  なんとこの家なのです!! 
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  自分が描いた家を見間違える筈が無く、驚きました。 
  名前も知らずでしたが、彼の目が好きで知っていましたので、驚きが一層で、 
  TVのマフィア・シリーズ、ソプラーノの役で大当たりを取ったのだそう。  
  何かのご縁と思い、ご冥福を祈ります。



   
 

◆ ひかげの椅子  Sedia nell'ombra  3F

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  トスカーナの東南、オルチャの谷の東に位置するピエンツァの町。
  15世紀、教皇ピオ2世が自分の生まれたこの村を、ルネッサンス風の
  理想の町にしようと奮闘した跡の残る、世界遺産指定の小さな町。


  周囲を城壁が囲み、町の東西を抜ける1本の通りの周囲に家並みが続き、
  南側にある家々の壁に陽が当るのは、朝日の時間のみ。

  道端に出されたこの手作りの椅子に当っている陽もあとわずか!
  行き合わせたチャンスが有難かった、このモチーフです、はい。




   

◆ 刈り入れ後の麦畑 アシャーノ   
  Campo di grano dopo la mietirura - Asciano  3M 
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  シエナの東南に位置する、シエナのクレーターと呼ばれる一帯、
  太古には海の底だったという白い石灰岩が顔を出す大地の
  中心に位置するアシャーノの町。


  アシャーノの手前からオルチャの谷のピエンツァに向う道の、
  両脇に広がる大きな起伏のある大地に、春は緑の麦畑が一面に広がり、

  6月の末から始まる麦刈り後は、こんな風にトラクターの跡が無数に
  残る濃い黄金色、オレンジ色ともいえる麦畑が残り、
  まるで抽象画のような柄に魅せられます。


  広い広い谷の麦畑を、小さなトラクターが起伏に翻弄されながら
  ウンウンと上ったり下りたり・・。 

  そんな光景を見ると、その風景の中に居れる幸せを感じずにはいられません!




     



・ ドロミーティ  Dolomiti 


◆ 遅春 ドロミーティ・シン湖  
  La primavera ritarda... - Lago di Scin. Dolomiti   5P
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  シン湖、湖というよりも「池」と言った方が良いほどの大きさの湖で、
  かの猪谷千春選手が銀メダルを取った(古いなぁ!)、VIPの避暑地で有名な
  コルティナ・ダンペッツォから奥に4kmほど、
  車で10分もかからない所にあります。

  もっと奥にある大きなミズリーナ湖に行く途中になりますが、

  この時は5月上旬、既に里では若葉が美しい時期でしたが、
  ここにはまだ雪が残り、そのせいもあって、
  エメラルド色に青空が映った神秘的な深い色がなおさらに印象的!


  湧き水の湖なのでしょう、小さなさざ波がいつも全体に立ち、
  エメラルド色のそう深くもない水の中には、
  大小の魚が悠々と泳いでいる姿が見えるのです。


  近年道を隔てた場所に、以前のバールを改装したレストランが開店、
  大変美味しい、ちょっとドイツ風な料理を食べる事が出来ました。 
  ここはお勧めです、はい。




   

◆ 納屋の窓 ドロミーティの山の家  
  Finestrella di capanna - Dolomiti   4F 
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  何年か前に息子夫婦がシロール・Sirorという山間の町に小さな家を購入、
  兄弟2人で改装し、夏の何ヶ月間を過ごしていて、私も何度か訪問を。

  夏には、周囲の小さな町村は毎週どこかで催しやお祭りがあり、
  出かけて楽しめますし、何よりも涼しく、
  それ以上に素朴な山の人々の家の姿や、暮らし振りに惹かれます。


  この花で溢れる納屋の窓もよく見ると手作りで、年月を経た板の庇も
  良い味を醸していて、全面板壁の木目にも惹かれ・・、  

  鉢植えの花を描くのが苦手なのも、何とかなるだろうと挑戦。

  が、なかなか何とかなりませんでぇ、ははは、苦労いたしましたぁ。




   


・ ヴェネト  Veneto 


◆ ティツィアーノの生家  ピエーヴェ・ディ・カドーレ  
  Casa natale di Tiziano - Pieve di Cadore  5F 

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  16世紀のイタリアの画家、というよりも、ティツィアーノという
  名前だけで通じる偉大な画家の生家が、今もこの山間の小さな町に。
  生家は地元ではかなりの名家だった様子で、当時としては立派な大きな家で、
  幸いにして5世紀を経て殆ど手付かずで残っていて、現在は博物館に。


  この部屋は、2階にある台所兼居間という感じの、細長い石敷きの部屋で、
  囲炉裏端に子供の頃のティツィアーノが家族と一緒に座って暖を取ったり、
  スープをすする姿も思い浮かぶような部屋。

  大人になってからも、ちょいちょいこの家には戻っていたようですし、
  彼にとってはいつまでも心に残る生家だったのでしょう。


  部屋に入った途端、窓からの逆光で部屋の空気が青白く感じる、
  素晴らしく静謐な空間で、描きたい、描こう!!と痛切に思ったのでした。

  途中一度詰まりましたが、 ・・描けて良かった!!




   

◆ 冬の黄昏 オリアーノ村  
  Tramonto invernale - Ogliano   3F 
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  隣村オリアーノは、我が村スコミーゴよりも少し海抜が高いので、
  丘の稜線が良く見え、季節によって場所は移動しますが、
  いつもこの丘の向こうに日が沈みます。 

  オリアーノ村の教会の少し傾いた鐘楼、糸杉の列、点在する家、
  そして左に傘型の松の木、そしてもっと左に行くと下り坂の丘の形に添う
  松の木の並びと、見慣れた姿ですが、


  このモチーフはスコミーゴから坂道を下った所で、一番手前の丘の向こうに
  ヴェネツィア - ベッルーノ間の高速が通り、
  低い丘の起伏が次々とオリアーノに続き、

  夕暮れ時に戻って来た時、美しいなぁ!と時に眺めに感謝する場所です。




   

◆ 修道院の回廊 フォッリーナ  
  Chiostro:Abbazia di Follina  3P 
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  フォッリーナは街道筋の小さな町で、かっては羊毛加工工場もあった、
  商業的に現在も繁栄しているのか、良いホテルもある趣ある町ですが、

  その一廓に13世紀からの歴史を持つサンタ・マリーア修道院があります。


  このモチーフはその回廊の一部で、とりわけここに装飾された柱が多くあり
  気に入ってますが、柱の上部には如何にも中世を伝える人間の顔や鳥の姿も。

  内庭には大きな石をくり貫いたという泉もあり、静かな空気が漂う場所で、
  友人たちともよく出かけますが、夏にはこの内庭で音楽会などの催しもあるそう。






◆ ヴェネト早春 黄金色の午後  
  Inizio di primavera - pomeriggio dorato  3F 
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  我が家から車で20分程、サン・ピエトロ・ディ・フィレットという村に、
  同名の千年を越す歴史を持つ古寺があり、
  内部は年代ごとのフレスコ画装飾で埋まった見事な物。

    
  傍らの道から少し高い位置で、教会前から西に開ける展望はまさに素晴らしく、
  丘の起伏、広がる葡萄畑、点在する家々と、季節ごとに感嘆しますが、


  これはまだ早春の頃、教会の見学を済ませて出てきた時に見た、
  午後遅めの黄金色の逆光に染まった空と、
  目の前のまだ枯れ木の風景が素晴らしかった様子を。

  もう少しすると、木々の新芽が吹きだし、うす緑に染まる丘と畑です。




   

    

・ ヴェネツィア  Venezia 


◆ ヴェネツィア夕暮れ サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂
  Crepuscolo a Venezia - Santa Maria della Salute  6F

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  サン・マルコ広場から少し河岸を西に、サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂が
  一番良く見える位置に。
 
  そして夕暮れのぼわっとした空気がピンク色になり、薄紫に、そして群青色に
  変わっていくひと時は、何ものにも代えがたい、気持ちのたゆたう良き時。


  柔らかい色の出た写真が気に入り、たまたま見た古い優しい絵にも触発され
  これを描き出したのでしたが、途中からどんどん変わり、
  仕上がったのは自分が撮った写真とも、気に入った絵とも全然違うものに!
  お前の本性はね、と証拠を突きつけられたかの様な・・、ははは。

  うん、でもね、なかなか良い絵が出来たよね、と慰め励ます、自分です、はい。




   

◆ 夏の運河 ヴェネツィア  
  Rio veneziano d'estate   5P 

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  何度もヴェネツィアに通い、眺め、写真を撮りながら歩き回っていると、
  いつの間にかその地区の空気が馴染みのものとなり、
  写真を見ると、ああ、あそこだと分かる様になります。

  このモチーフはそれで言うと、カンナレッジョの中に入った辺り、
  手前の建物の陰の小運河に映る、明るい向こう側が気に入ったもの。


  余り観光客も入り込まず、モーターボートが走って波を立てる事もなく、
  庶民の生活の匂いもするような一廓、そんな場所がお気に入りですが、

  そんなモチーフにもひとつ花を添えてくれるのが、光。
  ちょうど良い光が射し込んでいる時に出会えるかどうか、
  それはもうチャンスのみです。




     
          
◆ ヴェネツィア 冬の夕暮れ  
  Tramonto d'inverno   6P 
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  冬のヴェネツィアは霧がよくかかり、それがまた海の都に相応しく、
  一層の雰囲気を盛り上げます。 
  夏の強い陽射しの下では目に付くアラも隠れますしね。
  車の走らない歩きのみの街だからこそ、のんびり楽しめる霧なのかも。


  このモチーフは12月の半ば、まだ街灯が点くには早い時間の、
  サン・マルコ小広場の河岸。
  霧が深く、ゴンドラ漕ぎは早々に仕事を切り上げ、覆いを掛けられた
  ゴンドラが並び、たぷたぷと舫い・・。
  そうして待っているうちに広場の街灯が灯り、突堤先の明かりもぼんやりと。


  灯りが強くなるとこれはまた別の世界、夜の入り口。
  冷えたら、熱いチョコレートでも飲みに行きましょうか?




   

◆ 日曜の朝 ヴェネツィア  
  Domenica mattina a Venezia   4F 
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  サン・ポーロ広場の少し手前、北への小路を辿った所のこの小運河。
  いつもだとボートが行きかい、小運河も波の絶え間がありませんが、
  
  初夏の日曜の朝出かけた時にはひっそりと静まり返り、小波も立たず、
  只ゆらゆらと、河岸の建物がしっかり映っておりました。

  表通りの建物とはまた違い、古いポルティコや奥に小さな幼稚園もある
  運河沿いで、ヴェネツィア庶民の生活が偲ばれるような一廓。


  大運河沿いの大きな豪奢なパラッツォも美しいですが、
  こんな古い面影が残るヴェネツィアも大好き!




     

◆ ゴルドーニの家博物館 内庭  
  Museo casa natale di Goldoni   6F        
          
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  18世紀ヴェネツィア生まれの劇作家カルロ・ゴルドーニ・Carlo Golodoni
  の生家で、現在は生家博物館として一般公開されていて、
  これはその中庭で、こちら手前に家の船着場が。

  かっては奥に見える階段を上って入館するシステムでしたが、
  現在は左手にある切符売り場から上に上がるように、変わっています。


  医者の息子として生まれ、最初は法律家になる勉強をしていたゴルドーニが、
  子供の頃遊んだであろう人形劇の小さな舞台の玩具や、当時のヴェネツィアの
  劇場のありかなどを示す模型など、興味深い博物館。


  薄暗いこの中庭は、ヴェネツィア特有の赤いピンクともいえる壁の中で、
  上に小さく開いた空から降り注ぐ光の中、
  白い大理石の井戸がぽっと輝くように見える、静謐な空間でした。




   

◆ ヴェネツィア 冬の運河  
  Rio d'inverno - Venezia   6M 
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  冬のヴェネツィアは底冷えがし、靄のかかる事も多いのですが、
  眺めるには美しく、絵のモチーフにも最適なので勇んで出かけます。


  靄の日の午後、細い運河に斜めに陽が射しこむと、
  それだけでいつもとは違う雰囲気がかもされ、
  それを何とか自分の絵の中にと思い、奮闘です。


  良いと思うモチーフを探し、写真を撮る時は無心で追っかけですが、
  いざ描くとなると、当たり前の事ながら、無心ではなかなか・・!
  自分が現在持っている力のありったけを出しつつ、
  画面とあれやこれや相談しながら、
  絵本人がOKのサインを出してくれるまで、粘ります。




     

◆ ゴンドラ溜まり ヴェネツィア  
  Ormeggio di gondole - Venezia   5F  

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  ゴンドラ溜まりは大小それぞれヴェネツィアの街中各所に散らばってあり、
  ゴンドリエーレ達は組合に属し、持ち場が順に変わって行くのだと。

  このゴンドラ溜まりはサン・マルコ広場の北西、ポルティコを潜った所の
  かなり大きな、ゴンドラも数多く係留している場所で、

  水面に映っているのは横のホテル、カヴァレット・エ・ドージェ・オルセオーロ・
  Cavalletto e Doge Orseolo。
  最初にイタリア旅行でやって来た時泊まったホテルで、
  初めてのゴンドラも仲間と一緒にここから乗り込んだ、という思い出の場所。


  ゴンドラはその独特の美しいスタイル、個別の装飾の黒いラッカー塗りで、
  このモチーフの場合は青空が映りこんでいますが、
  時に舳先の幅広の部分に運河脇の建物の色が映りこんだり、
  驚くほど鮮やかな色を見せてくれます。




   

◆ 夏の夜 ヴェネツィア・アルセナーレ付近  
  Sera a Venezia - presso l'Arsenale   3F       
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  お盆休暇に特急で来伊した友人と、宿から遠~いアルセナーレ(造船所)
  近くのレストランに、焼いたイワシがあるという理由で出かけました。

  お目当ての美味しいイワシを食べている最中に、すぐ傍の国旗が海軍兵
  によって降ろされる一連の行事も見つめ、旨い白ワインもかなり飲み、
  店を後にすると、時間はかなり遅く空もとっぷりと暮れているのに、
  夏の夜とあってまだたくさんの人々。

  犬の散歩、二人連れ、そして傍らの建物の上の窓から賑やかな声と
  食器の触れる音がし、見ると海軍さんたちが夕食のお時間で、
  橋の上から良く見えるのですね、ははは。

  河岸まで出ると、夏の夜の周遊から戻ったクルーズ船からは賑やかな音楽、
  お楽しみは始まったばかりの様子。

  ですが我々には、はぁ、とりわけ私めには、宿までの道のりが遠かったぁ!




   

◆ ブラーノ島の洗濯物  
  Bucato al sole: Burano   3F 
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  島中がカラフルな壁で有名なブラーノ島は、びっしりと家並みが立て込み、
  洗濯物は、家の前に設えた何本かのロープに賑々しく吊るされる事となり、
  洗濯物を見れば、その家の家族構成が分かるという・・、ははは。
  大きな男物パンツの横に、レーススリップやパジャマもあり、楽しい!

  たまたまこの家のは白物の洗濯物が多く、中に1点白黒横縞のがあり、
  ゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぎ)のシャツかと思い、
  頭の中には即「ゴンドリエーレの家」というタイトルも浮かびましたが、はは、
  描きだして気をつけて見ると、そうでない事に気がつくという、いつものドジ!


  でも、カラフルな壁の前に翻る洗濯物を描くのは、楽しい!