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ヴェネツィア夕暮れ サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂 Crepuscolo a Venezia - Santa Maria della Salute 6F

サン・マルコ広場から少し河岸を西に、サンタ・マリーア・デッラ・サルーテ聖堂が
一番良く見える位置に。
そして夕暮れのぼわっとした空気がピンク色になり、薄紫に、そして群青色に
変わっていくひと時は、何ものにも代えがたい、気持ちのたゆたう良き時。
柔らかい色の出た写真が気に入り、たまたま見た古い優しい絵にも触発され
これを描き出したのでしたが、途中からどんどん変わり、
仕上がったのは自分が撮った写真とも、気に入った絵とも全然違うものに!
お前の本性はね、と証拠を突きつけられたかの様な・・、ははは。
うん、でもね、なかなか良い絵が出来たよね、と慰め励ます、自分です、はい。
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夏の運河 ヴェネツィア Rio veneziano d'estate 5P
何度もヴェネツィアに通い、眺め、写真を撮りながら歩き回っていると、
いつの間にかその地区の空気が馴染みのものとなり、
写真を見ると、ああ、あそこだと分かる様になります。
このモチーフはそれで言うと、カンナレッジョの中に入った辺り、
手前の建物の陰の小運河に映る、明るい向こう側が気に入ったもの。
余り観光客も入り込まず、モーターボートが走って波を立てる事もなく、
庶民の生活の匂いもするような一廓、そんな場所がお気に入りですが、
そんなモチーフにもひとつ花を添えてくれるのが、光。
ちょうど良い光が射し込んでいる時に出会えるかどうか、
それはもうチャンスのみです。
◆ ヴェネツィア 冬の夕暮れ
Tramonto d'inverno 6P
冬のヴェネツィアは霧がよくかかり、それがまた海の都に相応しく、
一層の雰囲気を盛り上げます。
夏の強い陽射しの下では目に付くアラも隠れますしね。
車の走らない歩きのみの街だからこそ、のんびり楽しめる霧なのかも。
このモチーフは12月の半ば、まだ街灯が点くには早い時間の、
サン・マルコ小広場の河岸。
霧が深く、ゴンドラ漕ぎは早々に仕事を切り上げ、覆いを掛けられた
ゴンドラが並び、たぷたぷと舫い・・。
そうして待っているうちに広場の街灯が灯り、突堤先の明かりもぼんやりと。
灯りが強くなるとこれはまた別の世界、夜の入り口。
冷えたら、熱いチョコレートでも飲みに行きましょうか?
◆ 日曜の朝 ヴェネツィア
Domenica mattina a Venezia 4F
サン・ポーロ広場の少し手前、北への小路を辿った所のこの小運河。
いつもだとボートが行きかい、小運河も波の絶え間がありませんが、
初夏の日曜の朝出かけた時にはひっそりと静まり返り、小波も立たず、
只ゆらゆらと、河岸の建物がしっかり映っておりました。
表通りの建物とはまた違い、古いポルティコや奥に小さな幼稚園もある
運河沿いで、ヴェネツィア庶民の生活が偲ばれるような一廓。
大運河沿いの大きな豪奢なパラッツォも美しいですが、
こんな古い面影が残るヴェネツィアも大好き!
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ゴルドーニの家博物館 内庭 Museo casa natale di Goldoni 6F
18世紀ヴェネツィア生まれの劇作家カルロ・ゴルドーニ・Carlo Golodoni
の生家で、現在は生家博物館として一般公開されていて、
これはその中庭で、こちら手前に家の船着場が。
かっては奥に見える階段を上って入館するシステムでしたが、
現在は左手にある切符売り場から上に上がるように、変わっています。
医者の息子として生まれ、最初は法律家になる勉強をしていたゴルドーニが、
子供の頃遊んだであろう人形劇の小さな舞台の玩具や、当時のヴェネツィアの
劇場のありかなどを示す模型など、興味深い博物館。
薄暗いこの中庭は、ヴェネツィア特有の赤いピンクともいえる壁の中で、
上に小さく開いた空から降り注ぐ光の中、
白い大理石の井戸がぽっと輝くように見える、静謐な空間でした。
◆ ヴェネツィア 冬の運河
Rio d'inverno - Venezia 6M
冬のヴェネツィアは底冷えがし、靄のかかる事も多いのですが、
眺めるには美しく、絵のモチーフにも最適なので勇んで出かけます。
靄の日の午後、細い運河に斜めに陽が射しこむと、
それだけでいつもとは違う雰囲気がかもされ、
それを何とか自分の絵の中にと思い、奮闘です。
良いと思うモチーフを探し、写真を撮る時は無心で追っかけですが、
いざ描くとなると、当たり前の事ながら、無心ではなかなか・・!
自分が現在持っている力のありったけを出しつつ、
画面とあれやこれや相談しながら、
絵本人がOKのサインを出してくれるまで、粘ります。
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ゴンドラ溜まり ヴェネツィア Ormeggio di gondole - Venezia 5F
ゴンドラ溜まりは大小それぞれヴェネツィアの街中各所に散らばってあり、
ゴンドリエーレ達は組合に属し、持ち場が順に変わって行くのだと。
このゴンドラ溜まりはサン・マルコ広場の北西、ポルティコを潜った所の
かなり大きな、ゴンドラも数多く係留している場所で、
水面に映っているのは横のホテル、カヴァレット・エ・ドージェ・オルセオーロ・
Cavalletto e Doge Orseolo。
最初にイタリア旅行でやって来た時泊まったホテルで、
初めてのゴンドラも仲間と一緒にここから乗り込んだ、という思い出の場所。
ゴンドラはその独特の美しいスタイル、個別の装飾の黒いラッカー塗りで、
このモチーフの場合は青空が映りこんでいますが、
時に舳先の幅広の部分に運河脇の建物の色が映りこんだり、
驚くほど鮮やかな色を見せてくれます。
◆ 夏の夜 ヴェネツィア・アルセナーレ付近
Sera a Venezia - presso l'Arsenale 3F
お盆休暇に特急で来伊した友人と、宿から遠~いアルセナーレ(造船所)
近くのレストランに、焼いたイワシがあるという理由で出かけました。
お目当ての美味しいイワシを食べている最中に、すぐ傍の国旗が海軍兵
によって降ろされる一連の行事も見つめ、旨い白ワインもかなり飲み、
店を後にすると、時間はかなり遅く空もとっぷりと暮れているのに、
夏の夜とあってまだたくさんの人々。
犬の散歩、二人連れ、そして傍らの建物の上の窓から賑やかな声と
食器の触れる音がし、見ると海軍さんたちが夕食のお時間で、
橋の上から良く見えるのですね、ははは。
河岸まで出ると、夏の夜の周遊から戻ったクルーズ船からは賑やかな音楽、
お楽しみは始まったばかりの様子。
ですが我々には、はぁ、とりわけ私めには、宿までの道のりが遠かったぁ!
◆ ブラーノ島の洗濯物
Bucato al sole: Burano 3F
島中がカラフルな壁で有名なブラーノ島は、びっしりと家並みが立て込み、
洗濯物は、家の前に設えた何本かのロープに賑々しく吊るされる事となり、
洗濯物を見れば、その家の家族構成が分かるという・・、ははは。
大きな男物パンツの横に、レーススリップやパジャマもあり、楽しい!
たまたまこの家のは白物の洗濯物が多く、中に1点白黒横縞のがあり、
ゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぎ)のシャツかと思い、
頭の中には即「ゴンドリエーレの家」というタイトルも浮かびましたが、はは、
描きだして気をつけて見ると、そうでない事に気がつくという、いつものドジ!
でも、カラフルな壁の前に翻る洗濯物を描くのは、楽しい!